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工人銘
 
 この工人銘は 師、黒田乾吉から紹介されたものです。
折にふれ、原点に立ち戻っては 制作の拠りどころとしてきました。


1.作をして美しきものたらしむべし されど美を工夫すべからず 
   美は自然に在り、よき工人は自然の欲する以外の事を欲せざるべし

1.用ゐられん為に作るべし
   用途以外のものを作る時、世を害し、美を害し、自らを害すべし

1.心を出さんとて作るべからず
   邪念交れば也

1.作る事に奉仕すべし
   之以外に自らを活かす道なしと知るべし

1.作る事と活きる事とを同一の意味たらしむべし
   活きる故に作るに非ず 作る故に活きる也

1.静寂を作に含ましむべし
   汝の作をして世界の平和の一保證たらしむべし

1.古作品を愛すべし 併しそこに死すべからず
   古作を愛するは、新作を創る為なるべし

1.作は健全を旨とせよ
   それに優る力なし

1.多種の作を慎むべし されど多量をおそれるべからず
   完からざる千の異なる器を作らんより、
   完き一つの器を多く作る方優れり
   
1.一つの作は一つの公案と思ふべし
   器を作るとは、解き難き謎を解くに等し

1.倦む事なく作るべし
   作るは楽む也
   努力するはよし されど未だし 遊戯に帰るべし

1.感謝を以って作るべし
   作るは吾が技ならず 神の恩寵なるを知らむ

1.作は懺悔也 人の前にまた神の前に
   欺かんとするも無益也 
   自らに対し他人に対して又神に対して、終り迄偽り得る事なし

1.無に帰らんとせよ
   そは帰趣にして又根元也

1.技巧に死すべからず
   如何にかかる作が多きかを熟知せるにあらずや

1.又知識に死すべからず
   知に害せらるると無知に滅ぶと何の差あらんや

1.よき師をもち よき友をもつべし
   一つは高きに登らんが為也 
   一つは近きに温まらん為也 孤独はよろしからず
   
1.作ることによって自らを深むべき也
   若ししかあらずんば、何の意義かあらん 何の生長かあらん

1.値の廉たり得るものを作るべし
   汝の作が万人の用に適はずんば未だしと云ひつべし
   貧者の友たるを志すべし

1.批評を恐るべからず されど自然には批評を求むべし
   万般の法則は只自然の裡にあるべければ也

1.機械を用ゐて可也 されどそれに支配せらるるは悪也
   汝の手をして当に機械の主たらしむべし

1.器を作る前に生活を作る様心がくべき也
   不徳なる者如何にして道を説く権利あらんや。
   河濁らば海も亦濁るべし






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